こんにちは、FPの詠子です。今日は「収入・所得・課税所得って、何がどう違うの?」という、お金の言葉の整理をしていきますね。
「年収は?」と聞かれれば、多くの方がすぐに答えられると思います。でも「所得は?」「課税所得は?」と聞かれると、答えに詰まってしまう方がほとんどではないでしょうか。実はこれ、とても自然なことなんです。今日は、この3つの言葉の違いを、実際の書類のどこを見ればいいかまで含めて、まるごと整理していきます。
医療費控除は、本来「税金がかかる対象の金額(所得)を引き下げる制度」です。仕組みの全体像は、まず医療費控除とは?基本の仕組みで詳しく解説しています。また、分からない用語が出てきたら、医療費控除の用語集もあわせてご覧ください。
🪜 3段階で覚えましょう
税金の計算は、大きく分けて3つの段階を経て決まります。それぞれの段階に、別の名前が付いている、というだけなんです。
STEP1
収入(年収)
STEP2
所得
STEP3
課税所得
STEP1:収入(年収)=誰でも知っている数字
収入は、会社から支払われた給与・賞与などの合計額です。源泉徴収票の「支払金額」がこれにあたり、一般的に「年収」と呼ばれる数字です。ボーナスや残業代を含む、いわば「額面」の金額なので、多くの方が感覚的に把握しています。
STEP2:所得=収入から「経費」を引いた金額
所得は、収入から一定の金額(給与所得者の場合は「給与所得控除」)を差し引いた金額です。個人事業主の方が売上から経費を引いて利益を出すのと同じ考え方で、会社員・パートの方にも「仕事のために発生しているとみなされる経費」がある、という前提で自動的に差し引かれます。この所得にあたる金額が、源泉徴収票では「給与所得控除後の金額」として記載されています。
STEP3:課税所得=所得から「控除」を引いた金額
課税所得は、所得からさらに「所得控除」(社会保険料控除・生命保険料控除・配偶者控除・基礎控除・医療費控除など)を差し引いた金額です。実際に所得税率をかける対象になるのは、この課税所得です。3段階のうち、税金の計算に直接使われるのは、実はこの最後の数字だけなんです。
📄 源泉徴収票では、ここを見ます
会社員の方は、源泉徴収票の中に、この3段階すべてが記載されています。
※上記は説明用のサンプル数値です。
📄 確定申告書第一表では、ここを見ます
個人事業主の方は、確定申告書第一表の中に、この3段階すべてが記載されています。会社員の方より1ステップ少なく、「課税される所得金額」欄がそのまま印字されているので、引き算の手間もかかりません。
※上記は説明用のサンプル数値です。実際の申告書のレイアウトとは多少異なります。
🔑 なぜこの区別が大事なのか
「収入」「所得」「課税所得」を混同したまま話を進めると、次のようなズレが起きやすくなります。
- 医療費控除の基準額(総所得金額等が200万円未満かどうか)を、年収で判定してしまう
- 所得税率を調べるとき、所得控除を引く前の「所得」の金額で速算表に当てはめてしまう
- シミュレーターの「総所得金額等」欄に、年収をそのまま入力してしまう
この3段階を意識するだけで、こうした入力ミスや誤解をかなり防げます。
🔍 正しい数字で試算してみましょう
「所得」の数字が分かったら、医療費控除でどれくらい軽減されるか確認してみましょう。
🌸 医療費控除シミュレーター 🌸
「所得」にあたる総所得金額等・医療費総額・保険金の補てん額・所得税率(「課税所得」を速算表に当てはめて確認)を入力するだけで、所得税・住民税それぞれの概算軽減額を確認できます。
医療費控除シミュレーターを使ってみる →シミュレーターの詳しい使い方は医療費控除シミュレーターの使い方、所得税率の詳しい調べ方は自分の所得税率の調べ方で、それぞれさらに詳しく解説しています。
🎀 まとめ
収入・所得・課税所得は、税金の計算過程における3つの段階に、それぞれ別の名前が付いているだけです。収入から給与所得控除を引くと所得、所得から所得控除を引くと課税所得になり、税率がかかるのは最後の課税所得です。源泉徴収票や確定申告書のどこを見ればいいかさえ分かれば、迷うことはなくなりますよ。
📚 参考文献