🌸

こんにちは、FPの詠子です。今日は共働き夫婦の方向けに、医療費控除の「夫と妻、どっちで申告すべき?」問題にお答えします。

共働きのご夫婦から、「家族分の医療費が集まったけれど、夫と妻どちらの名義で申告すれば一番お得なの?」というご質問をとてもよくいただきます。

実は、医療費控除は申告する人(名義)を変えるだけで、手元に戻ってくる金額が数万円も変わることがあるんです。今日は、損をしないための「夫婦の分岐点」を分かりやすく解説していきますね。

💡 知っておきたい基本
医療費控除は、本来「税金がかかる対象の金額(所得)を引き下げる制度」です。仕組みの全体像は、まず医療費控除とは?基本の仕組みで詳しく解説しています。 また、分からない用語が出てきたら、医療費控除の用語集もあわせてご覧ください。

👫 夫婦の医療費は、どちらか一方にまとめて申告できます

医療費控除の対象となるのは、あなた自身の病院代だけではありません。税法では、あなたと「生計を一(いつ)にする配偶者や親族」のために支払った医療費もすべて含めていいルールになっています。

「生計を一にする」とは、簡単にお財布(家計)が一緒という意味です。共働きでそれぞれ独立して収入があっても、一緒に暮らして家計を共有しているのであれば、「夫の口座から払った医療費」も「妻の口座から払った医療費」も、どちらか一方の名義に全部まとめて申告してOKです。

💰 基本ルール:所得税率が高い(=収入が多い)方にまとめると有利

では、夫と妻、どちらの名義で申告するのがお得なのでしょうか。基本的な考え方は非常にシンプルです。

所得税率が高い方(基本的には年収が多い方)で申告した方が、戻ってくる税金は多くなります

日本の所得税は、収入が高くなるほど税率も上がる仕組み(累進課税)になっています。そのため、同じ「医療費の引き算」をするなら、税率が高い人に引かせてあげたほうが、節税の効果が大きくなります。

例:所得税率10%の夫が申告

控除額20万円 → 約4万円の節税

(所得税10%+住民税10%)

例:所得税率20%の妻が申告

控除額20万円 → 約6万円の節税

(所得税20%+住民税10%)

このように、夫婦それぞれの年収にハッキリと差がある場合は、「税率が高い(年収が多い)方の名義にすべてまとめて確定申告する」のが鉄則です。

⚠️ 超重要:「収入が少ない方」にまとめた方が得になる分岐点

「じゃあ、常に年収が多い方で申告すればいいんだね!」と思ってしまいますが、実はここからがFPの腕の見せ所。あえて「収入が少ない方」で申告した方がトクになる例外があります。

それが、「年間の医療費の合計が10万円未満」のとき、または「夫婦の税率が同じくらいで、片方の所得が200万円未満」のときです。

医療費控除は、一律「10万円」を超えないと使えないと思われがちですが、正確には以下のどちらか低い方の金額を超えたら使えます。

  • ① 一律 10万円
  • ② その人の所得(合計所得金額)の 5%

例えば、パートや育休取得などで、妻の今年の「所得(収入から一律の控除を引いた額)」が140万円だったとします。

この場合、妻の足切りラインは10万円ではなく、140万円の5%である「7万円」にまで下がります。もし、今年の家族の医療費合計が9万円だった場合、次のような逆転現象が起こります。

  • 夫(所得200万超):足切りが10万円なので、医療費9万円だと「控除はゼロ(使えない)」
  • 妻(所得140万):足切りが7万円なので、9万円-7万円=2万円の医療費控除が使える!

夫婦の年収が同じくらい(どちらも所得税率が5%や10%で同じステージ)の場合や、医療費がそもそも10万円に届かないような年は、あえて所得が200万円未満の配偶者にまとめて申告した方が、控除の枠が生まれておトクになるのです。

※なお、医療費控除には「上限200万円」というルールもあります。出産や大手術などが重なり、実質的な医療費負担が年間210万円を超えるような特殊な大増税・大出費の年も、夫婦で枠を分けることで上限をクリアできる場合があります。

🔍 我が家のベストはどっち?シミュレーターで比べてみよう

「うちの場合は結局どっちにまとめるべき?」と迷ったら、悩むよりもシミュレーターに数字を入れてしまうのが一番早くて確実です。

🌸 医療費控除シミュレーター 🌸

同じ「医療費の合計額」を使って、【①夫の年収・税率を入れたパターン】と【②妻の年収・税率を入れたパターン】の2つを交互に計算してみてください。合計軽減額(所得税+住民税)が大きい方が、あなたのご家庭の正解ルートです!

医療費控除シミュレーターを使ってみる →

🎀 まとめ

共働き夫婦の医療費控除は、家計が一つならどちらか一方に自由にまとめて申告できます。

基本は「収入が多い方(税率が高い方)」にまとめるのがお得ですが、医療費が10万円以下のときや、片方の所得が200万円未満のときは「収入が少ない方」が有利になる逆転劇が起こります。まずはシミュレーターを使って、ご夫婦にとって一番手元にお金が残る組み合わせを見つけてくださいね!


📚 参考文献