こんにちは、FPの詠子です。今日は「高額療養費や医療保険の給付金をもらった年の医療費控除、正しい引き算のやり方」についてお話しします。
入院や手術で高額療養費を受け取ったり、医療保険から給付金が出たりすると、「これって医療費控除にどう影響するの?」と迷う方が多いです。引き算を間違えると、控除額を実際より少なく申告して損をしたり、逆に多く申告してしまったりすることもあるため、今日はこの「引き算のルール」を丁寧に整理します。
医療費控除は、本来「税金がかかる対象の金額(所得)を引き下げる制度」です。仕組みの全体像は、まず医療費控除とは?基本の仕組みで詳しく解説しています。 また、分からない用語が出てきたら、医療費控除の用語集もあわせてご覧ください。
➖ 基本の計算式:補てんされる金額を差し引きます
医療費控除額の計算式は、次の通りです。
医療費控除額 = 支払った医療費の合計額 − 補てんされる金額 − 10万円
※総所得金額等が200万円未満の方は、10万円ではなく「総所得金額等の5%の金額」を差し引きます。
「補てんされる金額」に該当するのは、高額療養費、生命保険・医療保険の入院給付金や手術給付金、社会保険から支給される家族療養費や出産育児一時金などです。これらを受け取った場合は、支払った医療費からその金額を差し引かなければなりません。
💡 差し引くのは「その給付の対象になった医療費ごと」
ここが一番大切なポイントです。給付金や高額療養費は、その給付の目的となった医療費ごとに差し引くのがルールです。「1年間に支払った医療費の総額」からまとめて差し引くのではなく、「入院の給付金は入院費から」「歯科治療の費用は歯科治療費から」という形で、対応する医療費ごとに分けて計算します。
🎯 診断一時金タイプの給付金は差し引かなくてOK
医療保険の中には、「がん診断給付金」や「三大疾病保険金」のように、入院や治療の実費とは関係なく、特定の診断が確定した時点で一時金として支払われるタイプの給付金があります。これらは医療費を補てんする性質のものではないため、差し引く必要はありません。
一方、入院日数に応じて支払われる「入院給付金」や、手術に応じて支払われる「手術給付金」は、実質的に医療費を補てんするものなので差し引きます。給付金の名前だけで判断せず、「何のために支払われたお金か」を確認するのがポイントです。
📅 確定申告までに金額が確定していない場合
高額療養費は申請から払い戻しまで数か月かかることも多く、確定申告の時期(2月16日〜3月15日)までに実際の金額が確定していないケースがあります。その場合は、いったん見込額で計算して申告しましょう。後日、実際の受取額が見込みと異なっていた場合は、修正申告(見込額より受取額が多かった場合)または更正の請求(見込額より受取額が少なかった場合)を行って訂正すれば問題ありません。
🔍 差し引いた後の自己負担額でいくら戻るか確認しましょう
高額療養費や給付金を正しく差し引いたあとの自己負担額をもとに、実際の軽減額を確認してみましょう。
🌸 医療費控除シミュレーター 🌸
医療費総額と、受け取った高額療養費・保険金・給付金の合計を入力するだけで、所得税・住民税それぞれの概算軽減額を確認できます。
医療費控除シミュレーターを使ってみる →🎀 まとめ
高額療養費や入院給付金は、その給付の対象になった医療費(対応する支払い)ごとに差し引きます。診断一時金タイプの給付金は差し引く必要がなく、確定申告までに金額が確定していない場合は見込額で申告して後から訂正すれば大丈夫です。「何を差し引くべきか」を正しく理解して、医療費控除を賢く活用しましょう。
📚 参考文献