こんにちは、FPの詠子です。今日は、医療と介護が同時に家計にのしかかっているご家庭のための、「第3のセーフティネット」のお話です。
ご自身やご家族の医療費に、親御さんの介護費用。どちらも月々の上限制度(医療の高額療養費、介護の高額介護サービス費)を使っているのに、1年間トータルで見ると、それでも家計がずっしり重い——そんなご家庭のために用意されているのが「高額介護合算療養費」です。医療と介護の自己負担を年単位で合算して、基準額を超えた分が戻ってくる、知名度は低いけれどとても頼れる制度なんですよ。
月単位の上限制度である高額療養費がまだの方は、先に高額療養費制度とは?をどうぞ。合算療養費は、その「年間版・介護込み」の位置づけです。
🛡️ 高額介護合算療養費とは?
高額介護合算療養費は、毎年8月1日から翌年7月31日までの1年間にかかった、医療保険と介護保険の自己負担を世帯で合算し、年間の基準額を超えた分を支給してくれる制度です。ポイントは3つです。
- 年単位で計算します(月単位の高額療養費・高額介護サービス費を使った「あとの残り」を年間で救済するイメージ)
- 合算できる「世帯」は、高額療養費と同じく同じ医療保険に加入している家族です(たとえ同居の家族でも、夫が会社の健康保険・妻が国民健康保険のように保険が異なる場合は合算できません)
- 医療と介護の両方に自己負担がある世帯が対象です(どちらか一方が0円の場合は支給されません)
📋 年間の基準額はいくら?
基準額は、世帯の年齢構成と所得で決まります(現行の金額です)。
| 所得区分(年収の目安) | 70歳未満を含む世帯 | 70歳以上の世帯 |
|---|---|---|
| 約1,160万円〜 | 212万円 | 212万円 |
| 約770万〜約1,160万円 | 141万円 | 141万円 |
| 約370万〜約770万円 | 67万円 | 67万円 |
| 〜約370万円(一般) | 60万円 | 56万円 |
| 住民税非課税世帯 | 34万円 | 31万円 |
| 住民税非課税(年金収入80万円以下等) | — | 19万円※ |
※「一般」は、現役並み所得・住民税非課税のいずれにも該当しない世帯のことです。
※介護サービスの利用者が世帯内に複数いる場合は31万円になります。
※基準額は毎年7月31日(基準日)時点の加入保険・所得区分で判定されます。なお、2026年8月から高額療養費(月単位)の限度額改正が始まるため、それ以降に始まる計算期間の合算基準額については、ご加入の医療保険の最新の案内をご確認ください。
🔢 何を合算できる?できない?
- 合算できるもの:医療保険の自己負担(高額療養費や付加給付で戻った分を差し引いた後の額)と、介護保険の自己負担(高額介護サービス費で戻った分を差し引いた後の額)です。つまり「月々の救済を使ってもなお残った負担」を年間で拾う制度です
- 合算できないもの:入院・入所中の食費や居住費、差額ベッド代など、もともと高額療養費の対象外の費用です
- 70歳未満の方の医療分は、高額療養費と同じく、医療機関別・医科歯科別・入院通院別に「1か月21,000円以上」の自己負担のみが合算対象です。細かく分かれた小さな領収書は合算できない点に注意してください
- 支給されないケース:医療か介護のどちらかの自己負担が0円の世帯と、基準額を超えた金額が500円以下の場合は対象外です
🧮 計算例:夫婦ともに70歳以上・一般区分の場合
夫:持病の通院で、医療の自己負担が年間 30万円
妻:要介護で、介護の自己負担が年間 40万円
① 世帯の年間合計:30万円 + 40万円 = 70万円
② 一般区分(70歳以上世帯)の基準額:56万円
③ 支給額:70万円 − 56万円 = 14万円
それぞれ単独では月々の上限に収まっていても、年間で合算すれば14万円戻ってくる。医療と介護が長く続くご家庭ほど、効いてくる制度だと分かりますね。支給額は医療分と介護分に按分され、それぞれ医療保険・介護保険から支払われます。
📝 申請方法:自動では戻ってきません
この制度の最大の注意点は、原則として自分から申請しないと支給されないことです(保険者によってはお知らせが届く場合もあります)。流れは次のとおりです。
- 申請先:基準日(7月31日)時点で加入している医療保険(協会けんぽの支部・健康保険組合・市区町村の国保、後期高齢者医療の窓口)です
- 介護保険の自己負担分については、お住まいの市区町村で「自己負担額証明書」の交付を受けて添付するのが基本です。ただし近年は、申請書にマイナンバーを記入することでこの証明書の添付を省略できる取り扱いが広がっています(ご加入先にご確認ください)
- 年度の途中で転職・転居などで保険が変わった場合も、変更前の保険での自己負担を合算できます(変更前の保険から自己負担額証明書をもらいます)
- 申請の期限(時効)は、基準日(7月31日)の翌日から2年間です。「去年、医療も介護も大変だった」というご家庭は、今からでも間に合う可能性があります
🔍 わが家が対象になるか、確認してみましょう
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世帯の年齢構成・所得区分と、医療・介護それぞれの年間自己負担額を入力するだけで、基準額と戻ってくる金額の目安を試算できます。
高額介護合算療養費シミュレーターを使ってみる →🎀 まとめ
高額介護合算療養費は、月単位の高額療養費・高額介護サービス費を使ってもなお残る負担を、8月から翌7月の年単位・世帯単位で救済してくれる制度です。医療と介護の両方に負担がある世帯が対象で、原則は申請しないと戻りません。期限は基準日から2年。医療と介護が重なった年は、7月末を過ぎたタイミングで「わが家は基準額を超えていないか」を確認する習慣をつけてくださいね。細かい取り扱いはご加入の医療保険・お住まいの市区町村の窓口でご確認ください。
📚 参考文献