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こんにちは、FPの詠子です。今日は傷病手当金の「いくらもらえるの?」に、円単位でお答えする計算編です。電卓を片手にどうぞ。

傷病手当金は「給料の3分の2」とよく言われますが、実は額面給与に3分の2を掛ければよい、という単純な話ではありません。計算のもとになるのは「標準報酬月額の12か月平均」で、途中に2回の端数処理も入ります。この記事では、協会けんぽの公式ルールどおりの計算手順を、例をまじえて1ステップずつ確認していきますね。

💡 知っておきたい基本
「そもそも傷病手当金って何?」という方は、まず傷病手当金のもらえる条件から。計算の主役である「標準報酬月額」が初めての方は、標準報酬月額とは?を先に読むと、この記事がすっと分かりますよ。

🧮 計算は3ステップ

1日あたりの支給額は、次の3ステップで決まります。

STEP1

標準報酬月額を
12か月平均する

STEP2

30で割る
(10円未満四捨五入)

STEP3

3分の2を掛ける
(1円未満四捨五入)

大事なのは、端数処理のタイミングです。30で割った段階で10円未満を四捨五入し、3分の2を掛けた段階で1円未満を四捨五入する、という2段階のルールになっています(協会けんぽの場合)。順番を変えると数円ずれることがあるので、正確に出したいときはこの順番を守りましょう。

✏️ 例:昇給があった方の場合

途中で昇給があった、次のような方で計算してみます。

直近12か月の標準報酬月額:前半6か月は28万円、後半6か月は30万円

STEP1:(28万円×6か月+30万円×6か月)÷12 = 29万円
STEP2:29万円 ÷ 30 = 9,666.66…円 → 10円未満四捨五入で 9,670円
STEP3:9,670円 × 3分の2 = 6,446.66…円 → 1円未満四捨五入で 1日あたり6,447円

では、この方が1か月(30日)まるごと休んだら、初月はいくら受け取れるでしょうか。最初の連続3日間は「待期」で支給されないので、支給対象は27日分です。

6,447円 × 27日 = 174,069円(初月の受取額の目安)
※翌月以降は待期がないので、30日の月なら 6,447円×30日=193,410円 のイメージです

ちなみに傷病手当金は非課税です。所得税や住民税の課税対象にならないので、「額面の3分の2」という見た目の数字よりも、手取り感覚での目減りは小さくなります。

📆 「支給開始日以前12か月」ってどこからどこまで?

平均をとる12か月は、「支給開始日」の属する月以前の継続した12か月間です。支給開始日とは、待期3日が明けて、一番最初に傷病手当金が支給された日のこと。休み始めた日ではない点に注意してください。

なお、この12か月の途中で転職して加入する健康保険(保険者)が変わっている場合などは、通算できるかどうかの取り扱いが分かれます。該当する方は、ご加入の協会けんぽ・健康保険組合に確認するのが確実です。

🌱 入社1年未満の方の特別ルール

加入期間が12か月に満たない場合は、次の2つを比べて低いほうの額をSTEP1の平均額として使います。

  • ① ご自身の、支給開始日の属する月以前の継続した各月の標準報酬月額の平均
  • ② 全被保険者の標準報酬月額の平均額。協会けんぽでは、現行の基準(2025年4月改定以降)で32万円となっています。健康保険組合の場合は、その組合ごとの平均額が使われます

たとえば入社半年・標準報酬月額41万円の方なら、①41万円と②32万円を比べて、低い②の32万円で計算されます。「入社してすぐ高い給与の方が、加入期間の短いまま高額の給付を受ける」ことを防ぐためのしくみですね。

⚖️ 減額・調整される場合の注意点

休んでいる間に会社から何らかの支払いがあると、傷病手当金は調整されます。ここは誤解が多いポイントなので、整理しておきましょう。

  • 調整の対象になるもの:休んだ日に対して支払われる報酬です。有給休暇の賃金のほか、出勤の有無にかかわらず支給される通勤手当・扶養手当・住宅手当などの固定手当、社宅などの現物支給も含まれます
  • 調整の対象にならないもの:出勤した日に対する残業手当や、見舞金のような一時的な支払いです
  • 調整のされ方:支払われた額が傷病手当金の額以上なら支給されず、少なければその差額が支給されます。「固定手当が出ているから1円ももらえない」ではなく、差額はちゃんと受け取れます

また、出産手当金や、同じ病気・ケガによる障害厚生年金などを受ける場合にも調整があります。他の給付との重なり方は、別の記事で詳しく解説予定です(準備中)。

🔍 面倒な計算は、シミュレーターにおまかせ

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この記事の3ステップ(端数処理込み)を、そのまま自動で計算します。標準報酬月額と休む日数を入れるだけで、1日あたりの支給額と受取総額の目安がすぐに分かりますよ。

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🎀 まとめ

傷病手当金の1日あたりの金額は、「標準報酬月額の12か月平均 ÷ 30(10円未満四捨五入)× 3分の2(1円未満四捨五入)」の3ステップで決まります。額面給与そのものではなく標準報酬月額がベースであること、入社1年未満には特別ルールがあること、休職中の固定手当は差額調整の対象になること。この3点を押さえておけば、受取額の見立てで大きく外すことはありません。正確な支給額は加入先の審査で決まるので、最終確認は協会けんぽ・健康保険組合の窓口でどうぞ。


📚 参考文献