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こんにちは、FPの詠子です。「高額療養費の負担が増えるらしい」というニュース、気になっている方も多いのではないでしょうか。今日はその中身を、新旧比較でていねいに整理しますね。

2026年8月診療分から、高額療養費制度の自己負担限度額が引き上げられます。「結局、自分はいくら増えるの?」というのが一番知りたいところですよね。先に結論をお伝えすると、月の上限額は全区分で引き上げ(月3,900円〜17,700円の増)ですが、同時に「年間上限」という新しい守りのしくみが導入され、長く治療を続ける方の負担はむしろ軽くなるケースもあります。負担が「増える人」と「変わらない・減る人」がはっきり分かれる改正なんです。

💡 知っておきたい基本
高額療養費制度そのもののしくみ(月単位の上限・世帯合算・申請方法など)は、高額療養費制度とは?月の医療費が高くなったら戻ってくるお金の話で基礎から解説しています。初めての方はそちらからどうぞ。

🗓️ 改正の全体像:2段階で変わります

今回の見直しは、2025年12月に政府として内容が決定し、2026年度予算の成立を経て実施が確定したもので、2段階に分けて施行されます。

  • 第1段階(2026年8月診療分〜):月額の自己負担限度額の引き上げ + 「年間上限」の新設
  • 第2段階(2027年8月診療分〜):所得区分の細分化(住民税非課税を除く各区分を3つに分割)+ 年収約200万円未満の方の多数回該当額の引き下げ

そして、長期療養の方の命綱である「多数回該当」の金額は据え置きです。ここが今回の改正の大事な設計思想で、「短期間だけ高額になる方には少し多めの負担をお願いし、長く治療が続く方は守る」という方向になっています。

📋 新旧比較表:70歳未満の月額上限はこう変わる

70歳未満の方(区分ア〜オ)の1か月の上限額です。2026年8月時点では区分の数は5つのまま変わりません。

区分(年収の目安) 〜2026年7月(現行) 2026年8月〜 増える額
約1,160万円〜 252,600円+1% 270,300円+1% +17,700円
約770万〜約1,160万円 167,400円+1% 179,100円+1% +11,700円
約370万〜約770万円 80,100円+1% 85,800円+1% +5,700円
〜約370万円 57,600円 61,500円 +3,900円
住民税非課税 35,400円 36,900円 +1,500円

※「+1%」は、その月の医療費(10割分)が一定額を超えた場合に、超えた部分の1%が上限額に加算されるという意味です(厚生労働省資料の表記に準拠)。
※多数回該当(直近12か月に3回以上該当した場合の4回目以降の上限額:ア140,100円/イ93,000円/ウ・エ44,400円/オ24,600円)は据え置きです。
※月をまたぐ入院では、2026年7月分と8月分で別々の限度額が適用されます。

🛡️ 新設される「年間上限」とは?

今回の改正の目玉が、月単位とは別に設けられる年単位の上限額です。毎年8月から翌年7月までの1年間で、自己負担の合計が次の額に達すると、それ以上の負担が不要になります。

区分 年間上限(2026年8月〜新設)
168万円
111万円
ウ・エ53万円
オ(住民税非課税)29万円

これまで、月の上限には届かないけれど毎月それなりの医療費が続く方や、多数回該当にぎりぎり届かない方は、年間を通すと大きな負担を抱えていました。年間上限はまさにそこを守るしくみです。厚生労働省の試算では、年収約370万〜510万円で多数回該当に届かなかった方の例で、年間約23.7万円の負担減になるケースが示されています。なお、この年間上限は当面、本人からの申出を前提とした運用で始まる予定なので、「自動で戻ってくるはず」と思い込まず、該当しそうな方はご加入の医療保険に確認しましょう。

👵 70歳以上の方:外来特例も変わります

70歳以上の方に用意されている「外来だけの上限(外来特例)」と世帯の上限額も、2026年8月から次のように変わります。

区分(70歳以上) 外来(個人ごと) 外来+入院(世帯)
一般 18,000円 → 22,000円
(年間上限 14.4万円 → 21.6万円)
57,600円 → 61,500円
住民税非課税(II) 8,000円 → 11,000円
(年間上限 9.6万円を新設)
24,600円 → 25,700円
住民税非課税(I) 8,000円(据え置き) 15,000円 → 15,700円

住民税非課税(II)の方の外来には、月額引き上げと同時に年9.6万円の年間上限が新しく設けられます。これは「毎月上限まで使っている方の年間負担額を、今より増やさない」ための配慮です(8,000円×12か月=9.6万円のまま)。なお、現役並み所得の方は70歳未満のア〜ウと同じ扱いです。

🔭 2027年8月の第2段階:区分の細分化

2027年8月からは、住民税非課税を除く各区分がそれぞれ3つに分かれ、より収入に応じたきめ細かい上限額になります。ポイントは「同じ区分ウでも、収入によって差がつく」ことです。

  • 年収約400万円の方:85,800円+1%のまま変わりません(区分内の下位層は据え置き)
  • 年収約700万円の方:85,800円+1% → 110,400円+1%に上がります(区分内の上位層は追加引き上げ)
  • 年収約200万円未満の方:月額上限は61,500円のまま、多数回該当が44,400円 → 34,500円に引き下げ、年間上限も41万円に下がります(低所得の方への配慮)

2027年分の詳しい区分表は、施行が近づいた時点で改めて記事にする予定です。

⚖️ 結局、あなたの負担は増える?減る?

厚生労働省が示したケース試算をもとに、タイプ別に整理すると次のようになります。

  • 単発の入院・手術がある方:月額上限の引き上げ分だけ、負担は少し増えます(例:年収約410万円・単月該当で年間約0.6万円増)
  • 多数回該当が続いている方:多数回該当額が据え置きのため、負担は変わりません
  • 毎月コンスタントに医療費がかかるのに多数回該当に届かなかった方:新しい年間上限のおかげで、負担が減るケースがあります(例:年間約23.7万円減)

つまり「一律の負担増」ではなく、ご自身の受診パターンによって影響がまったく違う改正です。だからこそ、ご自身の区分と医療費のかかり方で試算してみることが大切なんです。

🔍 改正前後の金額を、切り替えて試算できます

🌸 高額療養費シミュレーター 🌸

年齢・所得区分・医療費を入力すると、自己負担額と戻ってくる額を試算できます。2026年8月の改正前・改正後をワンタップで切り替えて比較できるので、「自分はいくら増えるのか」がその場で分かります。

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🎀 まとめ

2026年8月から、高額療養費の月額上限は全区分で引き上げられますが(月3,900円〜17,700円増)、多数回該当は据え置き、さらに年間上限が新設されて、長期療養の方への守りはむしろ厚くなります。2027年8月には区分の細分化という第2段階も控えています。運用の細かい部分は今後の省令・通知で固まっていく部分もあるので、実際の手続きの際は、ご加入の医療保険(協会けんぽ・健康保険組合・市区町村の国保窓口など)の最新の案内をあわせてご確認くださいね。


📚 参考文献